風船かずら

 今朝 届いたあなたの便りの中に風船かずらの種が数個入っていました。
まっくろな小さな粒のその真ん中に、白いハートの形がついている、かわいいかわいい種でした。

 これは昨年あなたの家のベランダの鉢にわたしが撒いた風船かずらの種から二代目の種ですね。
育てて下さったのね。

 便箋に「お元気ですか ぼくは元気です」
それだけ書いて、他に何も書かれていません。
ずっと離れて最後の欄に、あなたの名前ではないサイン「織部周二」と書かれていました。
ウフフッ・・すぐあなただと判りました。
そんなあなたのやさしさを、今日ほどうれしく悲しく思ったことはありません。



 これから先、いつの日会えるかわからない、このままずっと会えないかも知れない。
それでもわたしはその日を楽しみにして暮らしてゆこうと今日決めました。

 先ほど庭にその種を撒きました。
大切に大切に命をつないでゆきます。
いつか何代目かの種がとれたその日、きっとあなたに会えると願っています。

ありがとうございました。
わたしたちふたりの愛の種を、ありがとうございました。

                         窈 子


【参考】立原正秋著「花のいのち」2006/5/19 記




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