ウンコ事件

2014年6月13日 随想
ウンコ事件
 むかしは・・・といっても つい最近まで
食べ物 とりわけ野菜が今ほど衛生的ではなかった
畑には下肥(しもごえ)を撒いて野菜を育て
食べたもの出し それを肥しにして育てた野菜をまた食べる
この繰り返しの 原始的な完全循環有機農法であった
下肥は人糞尿の肥料で 農薬は使っていなかった

それがため 人のお腹の中には 色々な寄生虫が宿っていた

今はもう学校でそんなことを実施しなくなったのかなぁ
むかしの小学校では一年に一回は校内一斉に検便があって
家で採取した自分の便を 何かの容器に入れて学校に持って行くのだった

その検便にまつわる話をしてみよう



 もう30年も前のお話

ぼくの実家のお向かいに 当時小学校一年生になる男の子がいた
(今もいる もう35、6歳になるはず)
名前をカズヒサくんという

学校から検査のための検体( ウンコ )を
翌日持ってくるように言われていたらしい

カズヒサくん 帰宅して考えた
「朝になってから 急にウンコしようとしても
もし出なかったり ビチクソやったら困るから今の間にしておこう!
ウン!備えあれば憂いなしや!」
 
そこで カズヒサくん 小指の先ほどの量のウンコを容器の中に入れて また考えた
「朝までこのままにしていて もしもこのウンコ 腐ったらあかんから冷凍庫に入れとこう!
ウン!ワレながらエエ考えや!」
そして 冷凍庫の中の食品の間にウンコの入ったその容器を押し込んでおいた
 


 はたして翌朝 冷凍庫から かの容器を取り出して 振ってみてるとコロコロと音がする
「あらら~? このままやったら学校に持って行かれへんなあ・・・
解凍せなあかん! おお!そうや!電子レンジや!
チンとイッパツ解凍ルパン!」
  
 その時 カズヒサくんのお母さんは 朝ごはんの用意をしていたんやけど
電子レンジから妙なにおいがするので 驚いてレンジの扉を開けた
その瞬間 加熱された かのウンコは 強烈なにおいが台所といわず 家の隅々まで充満した

お母さんは大声で 「ちょっとぉ!! カズヒサ!
この子は一体 何したんよ! 何よ このにおいは!
いったい何をチンしたん!」

カズヒサくん お母さんが なんでそんなに怒るのか いっこうに解らない
こたえて曰く「ウンコやけど・・・?」
そして事の一部始終をお母さんに説明した
お母さんはカズヒサくんの言うことに あきれていたけれども
彼の言い分にも一理あり 呆れてしまって
「凍ったウンコはレンジでチンするもんやない 湯戻しするもんや!」と言ったという

 ちなみに その日の朝食は誰も食べる気がしなかったらしい
このお話はノンフィクションであり 登場する人物は実在します







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